⑫どうしようもなく小さな空
2024年の12月20日、路上ライブでまた吉祥寺で歌おうと思った。 前回の高円寺や新宿東南口よりも少しばかり安心感があるのには理由がある。 何度もブログにも書いてはいるが、上京したての頃や、札幌から遠征で東京に来ていた時も、何度も何度も吉祥寺の街で歌ってきたのだ。 ”2025年、mind soundへの旅”と名付けた渋谷ラママワンマンへの日々。 その一つにこの吉祥寺という街を選んだ。場所はダイヤ街というアーケード街。ここで何度も何度も歌ってきた。少しだけ街の景色は変わり、あの日のダイヤ街とは、もう匂いが違っていたけど、それでもまずは声を出さなきゃ始まらないし、変わってしまったのは僕も同じなのだ。 あの頃は何一つ路上で歌うことが怖くなかったが、この時は声を出すのが恥ずかしくなった。出来る限り自分の詩を歌おうと歌っていたら、結局自分の曲しか歌っていなかった。1時間半くらいで、立ち止まる人も誰一人いない東京の12月の寒空の中、僕はアコギをケースにしまい、すっかり冷えてしまった足首をさすりながら京王線の駅へとまっすぐに歩いた。前回の高円寺では1曲しか歌えずに、帰り道で泣けてきた事を思い出して、それよりはマシか。。なんて思いながら各駅停車の列車に乗って、車窓から東京の夜空をただ見ていた。 僕はいつまで詩を歌えるか。少なくとも1秒後はまだ声が出るし、詩も歌えるし、なんなら叫ぶ事だって出来るだろう 。