⑪傷だらけの青春
2024年の12月も半分を過ぎた頃、久しぶりの新宿駅東南口での路上ライブから数日後。
僕は高円寺に向かっていた。上京する前には随分と高円寺に憧れていたけど、東京に住みだしてからはめっきり行かなくなった。上京したすぐの頃に、死ぬほど酔っぱらったことがあるが、あれはぼくにとってとても大事な記憶だ。凄く孤独で切ない感情だったけど、同時に魂が燃えていた日々だった。
路上ライブを続ける中で高円寺で歌ってみようと思った。そういや高円寺で路上ライブをするのは初めてだった。初めて歩く長い細い路地をギターを持ちながら歩き、駅前のガード下で歌い始めた。2曲目を歌い始めた瞬間、警察のお兄さんに止められてしまった。その方はとても遠慮気味に、通報が入るとこちらも止めなくてはいけなくてごめんなさいね、と言った。高円寺は以前と違い路上ライブもやりづらくなっているとも言った。片づけをして警察のお兄さんに頭を下げ、また2度目の長い細い路地を帰った。少し切ない気持ちになった。久しぶりに孤独を感じたけど、上京した頃の感じとは違って、それがまた寂しかった。もうあの日みたいには歌えない自分に悲しくもなった。新しい詩を書かなければね。
佐々木泰雅
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