久しぶりに、いいニュースだな、と思った。
京王線でジョーカーに憧れた男が無差別に人を刺した。
幸い人は死んでないけど、犯人は人を殺せなくて悔しがっているみたいだ。
そりゃそうだよな、悔しいよな。
ジョーカーに憧れてたんだもんな。
このニュースを見た人の中にどれだけバットマン見た人がいるのか知らないが、
ジョーカーには憧れるよ、ほんとすげーかっこいいもん。
ノーラン監督のバットマンに出てくるジョーカーもなかなかにかっこいいけど、ホアキンフェニックスのジョーカーは切なくてもっと哀愁と渋みがありかっこ良すぎる。
このニュースは、犯人の男が見た映画がどれだけ名作だったかを物語っている。
僕もブルーハーツの真似を高校生の頃、部屋で延々とやっていた。真夏に窓を閉め切って、ヒロトになった気で暴れていた。あの時間が、僕の一番楽しくて幸せな時間だった。そして実際にバンドを組んで、その幸せだった時間を追い求めて来た。
もしも僕がそれと同じようにジョーカーに憧れて、真似る事に幸せを見出したら、白塗りで紫のコートを着て銃で大物司会者の頭を吹き飛ばす事を目指すのかもしれない。
だが犯人も残念がってるが、うまくいかなかった。人を殺せなかった。電車も爆発しなかった。
そうだ、お前はホントに馬鹿だよ。あれは映画なんだ。素人が簡単に勢いで真似したところで、あんなかっこよくいかないんだよ。ほんとに馬鹿だよ。
ニュースに映っているあんたの姿も素人がスマホで撮ったくそダサい映像だけだよ。
憧れたジョーカーみたいには人々には映らない。詰めが甘いんだよ。
ブルーハーツの真似した僕も、はじめは簡単にやれると勘違いした。コードはシンプルで誰にでも出来ると思った。でもマーシーのギターはとても細かいニュアンスがあるし、自分のライブ映像を見てもヒロトの痙攣ダンスには到底かなわない。つまり憧れだけじゃ、物真似だけじゃ、その人にかすりもしないんだよ。だからオリジナル曲を書くんだよ。自分の歴史から生まれる曲には他の誰もかなわないからね。憧れの人たちも、そうやって自分をやっているだけなんだと気づいたんだよ。
お前はホントに馬鹿だよ。
真似るなら、ヒースレジャーやホアキンフェニックスみたいな人生を真似しろよ。
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