台風が通り過ぎた、東京。
自宅の玄関を出て空を見上げると、全て吹っ飛んで真っさらなキャンパスに濃い水色が滲んでいた。
まるでこれから夏になるみたいで、嬉しい気持ちになった。
世の中はいろいろ大変なのに、そんな時に皮肉にも世界は今美しいと思ってしまった。
心の声がいつか詩になるのを待っていた。
人生は100年あれば儲けモノで、その中で一体いくつ心の声は詩になってくれるだろう。
涙が溢れそうな程の優しい気持ちを僕は知ってる。
仲間と呼べるような人が、僕にも何人かいる。
元気な時は、無理矢理にでも周りを巻き込んで仲間にしてしまう魔法を誰もが持っている。自分の時代に区切りを感じた時、その手に何が残っているのだろう。そして周りにいた人の手の中には僕はいるのだろうか。ささくれ立った大波の中でも、目に見えない暖かい光が心の中に灯っていたら、自ら便りを出してみる。
涙が溢れそうな程の優しい気持ちを僕は知ってる。
2019.10.16
吉祥寺ダイヤ街 路上
この場所でしか分からない事が沢山ある。
ここは僕の始まりの場所で本当に沢山の事を教えてくれる。この道のその先へ、この壁の裏側へ、アーケードの屋根をぶち破って、この地面を突き抜けて、地球の裏側にだって、届けようと、僕は今ここだ、と思いを込めて歌わないなら歌えないなら、もう詩なんて歌うな。
1時間半14曲の一言目、小さな灯りを灯台から照らして、いつかの影が乗った船を手繰り寄せるようにゆっくりとやってみる。芸術は魔法なんだ。そして神様そのものだ。信じる力を失った瞬間、生涯の主役は自分じゃなくなる。
信じるんだ。いつかの影が死んだ棺桶をゆっくりと埋葬する。
涙が溢れそうな程の優しい気持ちを僕は知ってる。
佐々木泰雅
フロムTokyo
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